楽曲解説『おさむ』

秋田県は自殺率が全国で一番高い。

参考 「自殺率」全国ワーストは3年ぶりに秋田県、32人増の209人読売新聞オンライン

私の身の回りでも沢山の人が自殺している。

 

親戚の叔父さんも自殺した。

同じ部落のお兄さんも自殺した。

後輩の母親も自殺した。

妹の同級生も自殺した。

 

そして、私の同級生も自殺した。

 

周りの人から話を聞くと共通している事が一つあり、「前日までおかしな様子は無かった」と皆が言う。

 

私は、私の経験なりに思うのだが、辛い時ほど明るく振舞わなければ健常な精神を保っていられない。

 

全員、明るく振舞うしか無かったのだと思う。

 

おさむだってそうだ。

中学の同級生で、高校は別なところに行ったが、風の便りで白血病を発症し学校を休んでいると聞いた。

 

月日が経ち、成人式の日に数年ぶりに再会した。

病状も回復し、大学に通っていると言っていた。

 

やけにニコニコしながら、病状の酷かった頃の話をしていた。

 

ベッドの上で寝込んでいる時に、「火の玉を見た」と言っていた。

 

殆ど死にかけた状態になった際に、「三途の川を見た」と言っていた。

「死後の世界はある」みたいなことも言っていた。

 

私はどんな表情で聞いたらいいのか分からず、ただただ話に耳を傾けていた。

 

・・・・・数年後、病状後が深刻に悪化し、おさむが自殺したという話を聞いた。

 

ずっと頭にこびりついていた成人式の日のおさむを思い出し、私はおさむがきっと『明るくありたかった』のだと思った。

そう、あの日のおさむは明るくありたかったのだ。