楽曲解説『都会の冬』

コロナ回復直後で、喉が万全で無いので休ませながら雑文をしたためようと思った次第。

 

何の曲を解説すべきか悩みましたが、今回は『都会の冬』を。

春めいてきた世間の様相を無視し、私にとっての冬を語ります。

楽曲解説『都会の冬』


タイトル通り『都会の冬』についての歌なのですが、この曲を理解するには私にとって、すなわち東北人にとっての冬について理解する必要があります。

 

東北と一口に言っても、主に日本海側は豪雪地帯で太平洋側は寒さだけでさほど雪は降りません。

言うまでもなく、秋田県は日本海側です。

 

そのため幼少期から、生活すらも危うくする次元の雪に囲まれて生きてきました。

『雪害』という言葉は都会の人には馴染が無いですが、雪国では雪の影響による事故で毎年人が亡くなります。

 

また極端な豪雪になると家から出るのも不可能で、社会活動というものがことごとくストップすることも。

 

このように冬というのは、我々雪国の人間にとっては避けがたい大きな脅威ですが、良い面を挙げるならば一つは雪景色の美しさでしょう。主観ですが。

 

苦労させられることの方が多いかもしれませんが、私にとっては冬=雪の密接なイメージの結びつきがあり、「雪は大変だ」という言葉を聞くことが多くとも、私にとっては雪は必要なものでした。

幼少期から雪で遊んで来た記憶も相まって尚更ーーー。

 

そして27歳直前で秋田から始めて出てきて、東京で初めての冬を迎えました。

雪が降らないのです。東京には雪が降らないのです。

 

勿論ニュース等で見て知ってましたが、「雪の無い冬」というのは私にとって異様であり、『今は冬である』という感覚が全くしないのです。

これは今も全く変わりません。

 

そんな私にとっての冬でない冬であるのが、『都会の冬』ということになるワケです。

 

モワモワと熱い空気を発する石油ストーブの匂い。

焼け焦げたコップの匂い。

ぬくんだ畳と座布団の匂い。

溶け始めたアルミホイルの匂い。

焼きすぎた干し芋の匂い。

 

いつもの冬を探して、私は夢の中で秋田の冬を感じるのだ。


余談ですが、この曲のイントロはブレイカーズの「恋は今すぐ」のオマージュです。

今まで誰も気づいてくれてなかったので、さりげなく書いておく次第。このタムの音が好きなのである。